敢えて書き留めておくあたしはこの3ヵ月間、二股をかけてた。
だぁりんと前の職場で出逢った彼。
だぁりんが仕事の時は、ほぼ毎日彼と会ってた。
彼のこと、凄く好きになってった。
だぁりんとは毎日のように別れ話をしてたけど、全く応じてはくれなかった。
こんなこと、早かれ遅かれバレるってわかってた。
修羅場になるってわかってた。
今晩もだぁりんが名古屋に向かってると思い込み、彼と家で会ってた。
子供も彼が好きで、一緒にお風呂に入って、3階の子供部屋で寝てた。
あたしは2階で家事をしてた。
そこに突然鍵を開けて、だぁりんが入ってきた。
一瞬何がなんだかわからなかった。
凄い形相であたしを睨んで、トイレやお風呂場、布団の中を探しまくる。
あの車、誰のやねん。
そう言って3階に向かった。
子供部屋から自ら彼が出てきた。
その瞬間、物凄い音を立てて彼が階段から突き落とされた。
そのあとをだぁりんが勢いよく降りてきた。
2階の和室に来た彼。
顔から出血。
その後ろには包丁を持っただぁりん。
子供たちも何事かと降りてきた。
馬乗り状態で彼を殴り、包丁を振りかざすだぁりん。
それを必死に止めるあたし。
だぁりん止めてお願いやし止めて何を言っても彼に向けた包丁を離そうとしない。
子供が泣き叫ぶ。
見せてはいけないと、大丈夫やから、上に行きなさいと子供部屋へ促した。
その間も殴ることを止めないだぁりん。
包丁を持つ手を掴む以外は無抵抗な彼。
脅しじゃない。
彼の手を振りほどけば本気で刺すだろうだぁりん。
だからあたしもだぁりんの腕を力一杯掴んで離さなかった。
子供が見てる包丁はあかん何かを叫び続けたあたしに気付いたのか、だぁりんは1度我に返り、包丁を離した。
殴ることは止めない。
無抵抗な彼の代わりに、あたしが止めようと、だぁりんの服の袖を掴んで、引き離そうとしたけど、男の力なんかに到底敵うはずなかった。
少しは気が済んだのか、だぁりんが彼から離れた。
何回家来ててん何回ヤってんいつからやねん携帯見せろ怒鳴るだぁりん。
今度はその矛先があたしに向けられた。
お前は一旦車に乗っとけ彼に言っただぁりん。
無理ですそう言った彼に、またキレた。
包丁を2本持ち、再び彼に飛び乗った。
あたしはもうあかんって本気で思った。
同時に力が抜けて、その場から動けなくなった。
鈍い音が部屋中に響き渡る。
刺してるのか、殴ってるのか、もう見ることすら出来なかった。
ずっと叫んでた声も、いつの間にか出なくなっていた。
彼のすみませんと言う声が聞こえた。
だぁりんはそれでも怒鳴りながら質問責めにし、殴っている。
包丁は相変わらず持ったまま。
彼はずっと謝るだけだった。
知らない間に子供がまた降りてきてて、泣き叫んでいた。
声が出ないあたしは上に行くように手振り身振りで促した。
暫くすると、3階で待っとけとだぁりんが彼に言った。
彼も素直に受け入れ、3階へ行った。
とりあえず歩けてる。
顔も服も血だらけだけど、刺されてはいなかった。
こっちに来いと言うだぁりん。
行かなきゃ殴られるか刺されると思い、素早くだぁりんの前に座った。
テーブルに腰を掛けて、両手に包丁を持ち、時々カチカチと刃同士を当てながら、あたしを睨んでる。
顔や眼鏡は彼の血返りを浴びていた。
静かにあたしを責める。
声が出ないあたしは頷くか首を振るだけ。
答えに詰まるたびに包丁のカチカチと言う音が鳴る。
インターホンが鳴った。
警察だった。
周りの人が子供の声を聞いて通報したらしい。
そして3階に居た彼も110番したらしい。
だぁりんが慌ただしく血のついた服を着替え、身体についた血を拭き、降りていった。
少ししてから彼が降りていき、1階で警官との話し合いが始まった。